うつ病には栄養学的な治療も必要です。エネルギーの摂りすぎには気をつけましょう!!

2022年3月29日

 現在、うつ病についての治療ガイドラインにも栄養学的療法が含まれるようになってきました。
 うつ病には肥満、メタボリック症候群、糖尿病などのエネルギー過剰摂取が主な原因の一つになって起こる事が指摘されています。従って、うつ病の治療に関して食事療法も重要な位置を占める事が示されてきています。上述のような代謝異常によりうつ病にかかるリスクが高くなるほか、うつ病になると将来に肥満やメタボリック症候群や糖尿病の状態を引き起こすリスクが高まるとも言われています。では、そのようなことを回避するにはどうすればよいのでしょうか?

Ⅰ)運動:運動はうつ病のリスクを下げ、治療効果も期待できるというエビデンスが確立しています。
Ⅱ)ビタミン:ビタミンではB1、B6、B12のほかビタミンD、葉酸などとうつ病との関連が指摘されており、特に、葉酸はエビデンスが多いようです。ビタミンDは紫外線のたすけで産生されるため、必要なビタミンです。
Ⅲ)アミノ酸:不可欠アミノ酸であるトリプトファンは神経伝達物質であるセロトニンや睡眠を誘発するメラトニンの原料となるようです。
Ⅳ)ミネラル:ミネラルのうちでも鉄は重要であり、亜鉛もよく不足しがちなミネラルです。更に、プレバイオテックス(オリゴ糖や、食物繊維)、更にプロバイオテックス(ビフィズス菌を含んだヨーグルトや乳酸菌飲料)を積極的に摂ることが大切で、ビオフェルミンやラックビー等も重要な位置を占めているようです。

 他に、お茶や紅茶、コーヒーを飲む方たちの調査(北九州市の市役所職員対象)によると、一日4杯以上の紅茶を飲む人は一日1杯以下の人たちと比べてうつ症状を呈するリスクが低かった結果が得られており、フィンランドの中年男性の調査やアメリカの女性対象の調査ではコーヒーをよく飲むとうつ病リスクが低下する可能性が示唆されています。従って、気をつけたい栄養学的視点から、飲料はジュースではなく紅茶やコーヒーのほか,お茶もよいと思われ、夜食を控える事も大切でしょう。

<参考文献>
「精神科治療学30(5)2015」 帝京大学医学部附属病院 功刀 浩先生