漢方薬の抑肝散加陳皮半夏で良い睡眠が得られるという話

2022年3月19日

 ぐっすり眠る事ができると、翌日エネルギーが充実して気持ち良い一日が過ごせます。しかし、現在、我が国では5人に一人の割合で睡眠に問題を持つ人がいると言われています。睡眠障害とは不眠症だけではなく、睡眠中に起こる異常な身体の状態(睡眠時無呼吸症候群やムズムズ脚症候群)などがみられます。通常、一夜の良い睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があり、ノンレム睡眠はその深さによってステージ1~4に分かれています。
 まず、入眠するとノンレム睡眠が出現し、その後に鮮明な夢をみているレム睡眠に移行し、その性質の違う睡眠が繰り返し出現して、徐々に深い睡眠へ移行し、その後、レム睡眠が出現すると言われています。
 睡眠薬にはベンゾジアゼピン系睡眠薬があり、他に抗ヒスタミン剤やメラトニン作動薬なども有効です。

 では、漢方薬はどうでしょうか?
漢方薬のうち、抑肝散加陳皮半夏を服用された場合、
①総睡眠時間を有意に延長
②入眠潜時を減少
③睡眠効率を増加
④ステージ2の増加
⑤ステージ3+4の減少傾向
以上が認められたという報告があります。翌朝に、眠気やめまい、脱力感などもなかったということです。当然、有効例と無効例があるわけですので、今後、しっかり有効例を同定する予測因子を大事にされることが望まれます。
<参考文献>
「漢方医学」2013 Vol1.37, No.1