うつ病に関係する栄養素及び食品

2022年6月11日

 以前にビタミンB群や葉酸の影響について少しお話ししましたが、もう少し詳しくお話しできればと思います。

●ビタミン類などの不足
 主にビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンDなどの不足がうつ病のリスクを高めることが指摘されてきています。ビタミンB1は豚レバーや鰻(ウナギ)に多く含まれ、ビタミンB6はにんにくや牛レバー、鰹(カツオ)、バナナ、鮪(マグロ)の赤身に、ビタミンB12は牡蠣、レバーに、葉酸はモロヘイヤ、ほうれん草、レバー、菜の花などに、ビタミンDは鮭、鮪、鰹、きのこ、椎茸などに多く含まれています。ビタミンCはじゃがいも、果物ではいちごや柑橘類に含まれ、これらは身体を構成するコラーゲンをつくるのに不可欠です。

●ミネラルの不足
 鉄、亜鉛、マグネシウムなどの不足が指摘されています。鉄の欠乏時には貧血の他に脳の機能障害が起こり、むずむず脚症候群など睡眠障害を起こす他、焦燥感、集中力の低下、無関心など、うつ病に見られる症状を引き起こします。亜鉛の吸収を阻害するリンは食品添加物に含まれている場合が多く、レトルト食品を多く摂っている方は要注意です。
 鉄は牡蠣やレバー(豚、鶏)、ひじき、小松菜などに多く含まれており、亜鉛はレバー(豚、鶏)、牡蠣や牛肉、鰻などに、マグネシウムは海藻、ゴマ、大豆などに多く含まれています。

●アミノ酸の不足
 必須アミノ酸のトリプトファンは神経伝達物質のセトロニンや睡眠を誘発するメラトニンの原料となるので、これが減少するとうつ病の素因を持つ人は気分が落ち込みがちになることが知られています。

●脂肪酸の不足
 エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸は鮪や魬(ハマチ)、鰤(ブリ)などの他、秋刀魚(サンマ)や鰻などに多く含まれており、不足しないように摂取することが良いでしょう。不足しないようにすることで動脈硬化や心筋梗塞の予防にもなると言われています。

 その他、ヨーグルトの他、緑茶は薬効成分を多く含んでおり、緑茶のテアニンには精神安定作用があると言われています、緑茶を飲まない人に比べて、多く飲む人にはうつ病が少ないという研究結果も出ているようです。

<参考文献>
「こころに効く精神栄養学」女子栄養大学出版部 功刀浩先生著