テアニンの効用

 テアニンとは、緑茶に含まれる1)渋み、2)苦味、3)うま味のうちの「うま味」にあたるものなのですが、これは1950年に宇治の茶業研究所の酒戸弥二郎氏によって玉露から抽出されたアミノ酸であることが判明したということです。緑茶を多く飲む人にはうつ病の人が少ないともいわれており、東北大学のグループによる調査結果(2009年 「Am J Clin Nutr」掲載)では、日本人では1日に4杯以上緑茶を飲む人は1杯飲む人と比べてうつ病を持つリスクがおよそ半分であることが示されています。
 テアニンは茶の木の根の部分でグルタミン酸とエチルアミンから合成されており、根から葉に移動することで日光にさらされるとグルタミン酸とエチルアミンに分解されてしまうようで、エチルアミンはカテキン合成に用いられるため、直射日光に当たらないように被覆栽培されている玉露や碾茶(てんちゃ)等の高級茶にテアニンは多いようです。
 グルタミン酸は1000億個以上も脳の中にある神経細胞の大部分によって神経伝達物質として用いられています。テアニンは腸から吸収され、血液脳関門を通過して脳内に取り込まれ、脳波にも現れるα波を増加、ストレスに対する自律神経の反応を抑えるなどにも役目があるようです。

<参考文献>
「こころに効く精神栄養学」功刀浩著(帝京大学医学部精神神経科学講座主任教授)