心療内科・精神科医として

 コロナ禍で不安や孤独感が大きくなったり、心身のバランスを崩したりする方が多くなっているということは、ひーこ先生が引退ではなく新規開業というチャレンジをした大きな理由の一つであるが、ひーこ先生には医師として実現したい一つの理想があり、その理想がひーこ先生を開業に導いたともいえる。

ひーこ先生の理想 ~未病への対応~
 ひーこ先生の理想とは、未病の状態で積極的に対策を施し、健康寿命を延ばし、心も身体もずっとキレイ、ゲンキ、ずっとイキイキを実現していくこと、といえる。そして、ひーこ先生が考える未病対策は、日々の食事、栄養、運動、睡眠を整えることであり、東洋医学的な漢方による体質改善である。
 未病とは、一般的に健康から病気に向かっている状態を指し、日本未病学会の定義では、①検査結果に異常はないが、自覚症状がある場合、②自覚症状はないが、検査値に異常がある場合、を指すとされている。

治療に至る以前の日々の生活習慣へのアプローチが重要
 26歳にしてiPS細胞から血管構造を持つヒト肝臓原基を作り出すことに世界で初めて成功し、30歳半ばにして東京医科歯科大学教授と横浜市立大学特別教授を兼任する武部貴則先生は、著書「治療では遅すぎる」(日本経済新聞出版)の中で、一人ひとり、また周りの人々がふだんの生活の中でもっと健康問題に介入する必要があると同時に、現在の医療には患者の周辺にいる人たちの治療・ケアという概念がない(患者の家族は精神的にも肉体的にも疲弊していることが多い)など様々な課題があるとして、次世代の医療は、病を診る医療から、人を観る次元の医療体系への拡張、すなわち、患者の生命の危機のみならず、人々の生活や人生をも対象とした新たな医療への変貌が不可欠であると、その根本的な転換の必要性を述べている。
 また、「精神疾患の脳科学講義」「研修医・コメディカルのための精神疾患の薬物療法講義」(共に金剛出版)など精神疾患の治療に関する著書の多い、帝京大学医学部附属病院の功刀浩教授も「こころに効く精神栄養学」(女子栄養大学出版部)や「心の病を治す 食事・運動・睡眠の整え方」(翔泳社)などで、心の病には日々の食事、栄養、運動、睡眠を整えることの重要性を訴えている。

100歳での現役を目指す大きな理由
 ひーこ先生は、心も体も病気や重症になってからでは、ご本人もご家族も負担が大きい、とくに心の病の場合、治療が生涯続くことも少なくなく、さらに社会の偏見も根強く残っているため、それらの負担を考えると、病気として症状が現れる前の未病の状態で、できる限りの対応をしたい、と考えており、それが当たり前になる世の中を実現したいと考えている。その実現のため、残りの人生を捧げたいと願っている。それが100歳での現役を目指す理由でもある。