ひーこ先生に励まされる患者さん
ひーこ先生のクリニックを訪れる患者さんは女性が圧倒的に多い。
患者さんの来院理由では「漢方薬の処方を希望して」というものが最も多い。「女性特有の体調不良の相談」というものも多いが、「経験が豊富そうだから」「女性医師なので」という理由も聞く。「ホームページや紹介サイトの写真を見て、安心して話せそう」「サイトの写真の笑顔がステキで」「サイト写真が優しそう」というひーこ先生の写真の笑顔に惹かれて、というものもある。
「近くの薬局に相談したら、じっくり話を聴いてくれるはず」ということで来院された場合もあった。受診してみて実際はいかがでしたか?と尋ねてみると、「ちゃんと話を聴いてもらえたので」という答えが返ってきた。薬局の方を嘘つきにせずに済んだようである。
殆どの場合、来院されるまでひーこ先生の実際の年齢を知る人はいない。しかし、何歳なのだろうと関心を持ってブログやWeb上の紹介記事を読み、実年齢を知って再診に訪れる患者さんが少なからずいる。「とても90歳には見えない」と言って驚くとともに、「先生に逆に励まされました。私も頑張らないと」と笑顔でクリニックを後にする。
高齢の母親を連れてこられた中年女性は「母を連れてきて本当に良かった。母が“私もしっかりしないと”って自分から言ってくれました」と目に一杯涙を溜めながら語った。初診のときは生きる希望がないと話して娘に連れられてきた別の高齢女性が、いつの頃からか遠くから自分ひとりで来院するようになり、ひーこ先生の前で「栄養に気をつけて食事をするようになりました」と話すようになった。
患者さんに元気をもらうひーこ先生
一方で、ひーこ先生自身も患者さんの話に一生懸命に耳を傾け、漢方薬の効用を語りながら、患者さんから元気をもらっているようにも見える。開院前後心配が絶えなかった頃と比べて、愚痴にも聞こえる話がめっきり減った。声にも心なしかハリがあるようにも感じる。患者さんがクリニックを出た後、「前回より笑顔が増えた」「多少寝れるようになって良かった」とつぶやくひーこ先生の横顔は何となく嬉しそうだ。
ある日、午前の診療時間がかなり延びて、午後診療の開始時間までの休憩時間がとても短くなった。ひーこ先生は、顔色一つ変えずに、その休憩時間を紹介状や診断書を書く時間にあてた。夜7時半ごろ、その日の最後の患者さんに「お大事にね」と声をかけて送り出したあと、一息つく暇もなく、昼間自分で洗った弁当箱を拭きながら片づけ始めた。「今日はたくさん患者さんを診たので疲れたでしょう?」と尋ねると、「たしかに頑張ったねぇ」とひーこ先生は笑顔で答えた。本当にタフだ。
もちろん、良い場面ばかりではない。ひーこ先生と合わないと感じる患者さんもいる。