心療内科・精神科医として

人生相談や家事相談も出てきた
 出版社や書店の方々の尽力により書籍販売の部数が伸びるにつれて、クリニックにも色々な問合せや相談が届くようになったことは以前にも書いたが、ひーこ先生なら何か新たな道を示してくれるのではないかと期待して、遠方より、御本人の心身の不調ではなく、ご家族の病気や将来のことに関する相談のためにお越しになるケースも出てきた。その場合、漢方処方による治療を求めてというよりも、家庭内の切実な悩みへのアドバイスを求めて受診される。事前に御本人のことでない相談だとわかれば、基本はご病気もしくは調子の悪い方御本人の受診をお願いするのだが、初診の診察時にご家族に関するアドバイス希望だとはじめてわかる場合もある。
 年老いてきて、統合失調症で入院中の息子さんの将来の生活を憂うケース、普段はおとなしいが、突如暴言を吐き、自殺をほのめかして周りの人々を困らせるケース、老齢の親にお金をせがみ、聞き入れられないと暴力を振るうケースなど、役所や病院、様々なところに相談してもなかなかうまくいかず、ひーこ先生ならと期待してお越しになる。

通常の場合と異なり疲れるひーこ先生
 ひーこ先生にとっては、せっかくお越しになったのだから少しでもお役に立つことができないか、と考える。ただ、少しでも良くなってほしいと願いながら漢方処方をする通常の場合と異なり、家庭の事情を真剣にずっと聴いて、できる限りのアドバイスのようなものを行う場合は、少ながらず疲れるように見える。一つ一つの家庭の事情が切実だからなのか、漢方処方という先生なりの解決方法がないからなのか、それはわからない。

スーパーマンではなかった
 先日、一日に三件、上述のような家事相談があったときは、ひーこ先生もさすが疲れた様子だった。日頃”疲れるというのがどういう感覚かわからない”と驚きの発言をするひーこ先生も疲れるときがあるのだ、と改めて認識させられた。当たり前だが、スーパーマンではなかった。