第37話 閑話4
ひーこ先生のささやかなマイブーム
前回の36話でひーこ先生のうなぎ好きについて書いた。好物は他にも色々あるようだが、時々で移り変わることも多いらしい。現在は、クリニックでのひーこ先生のマイブームの一つが、午前診療と午後診療のあいだの、コーヒー(お茶)ブレイクとお菓子タイム。
最近は午前診療が15時ぐらいまで続くことが少なくないので、次女が作ってくれるお弁当を食べるのは15時ごろになってしまう。16時から午後診療が始まり、患者様はそれより前にお越しになるので、昼のランチタイムはあまり時間の余裕がないことが多い。
普通のご高齢の方ならお弁当を食べてお茶を飲めば、もう午後診療の時間となるのだが、ひーこ先生は、午前診療の疲れも見せず、お弁当を早々に食べ終え、自分でドリップコーヒーを入れたりお茶を入れたりして、お菓子を添えて飲む。お弁当を食べる準備はもちろん、お弁当箱を洗ったり、後片付けも自分でやるので、昼休みもお茶やコーヒーを飲み始めるまでクリニック内を忙しく動いている。
お菓子をつまみつつ、コーヒーやお茶を飲みながら、ようやく落ち着いて午前診療のことを振り返り、診断書などの書類を書いたり、他院と連絡を取ったりしている。あっという間に短い昼休憩は終わるが、時間がなくても、ひーこ先生はコーヒー(お茶)ブレイクとお菓子の時間はほぼ欠かさない。受付係にも溢れんばかりにコーヒーやお茶を注いだマグカップを「はい、どうぞ」と渡す。もちろんお気に入りのお菓子を添えて。
ひーこ先生のお気に入りのお菓子とは
ひーこ先生のお気に入りのお菓子といっても、決して高価なものではない。もちろん虎屋やGODIVA好きの先生なので、虎屋の羊羹やGODIVAのチョコやクッキーなどがあれば言うことはないが、ドラッグストアで安売りをしているようなチョコやクッキー、バームクーヘンで十分。どこかのドラッグストアで買ってきて、クリニックに持参してストックしている。お菓子はたくさんではなく、働いた脳が欲している分だけ。お菓子を頬張り、コーヒーを口にしながら、にこやかに微笑むひーこ先生の姿が、午後診療の前にある。
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